【東京都発】アフォーダブル住宅とは?家賃2割安の新制度で子育て世帯を支援へ【2026年開始】

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東京都が2025年11月に発表した「アフォーダブル住宅」政策が注目を集めています。
聞き慣れない言葉ですが、都内で高まる家賃負担に対して、都と民間企業が手を組み、相場より2割安い賃料で住宅を提供するという新しい試みです。
この記事では、アフォーダブル住宅の意味や仕組み、なぜ東京都が導入するのか、そして今後の展望について、わかりやすく解説します。


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アフォーダブル住宅とは?その意味をやさしく解説

「アフォーダブル(Affordable)」とは、英語で「手の届く」「支払い可能な」という意味です。
つまりアフォーダブル住宅とは、「一般の人でも無理なく借りられる家賃の住宅」ということ。
欧米では一般的な考え方ですが、日本ではまだ新しい取り組みです。

東京都はこの考え方を取り入れ、民間企業と連携して、家賃を相場より約2割安く設定した住宅を供給する計画を立てました。
対象は主に子育て世帯やひとり親家庭。これまでの公営住宅では支援が届きにくかった層にもチャンスが広がります。


なぜ東京都が動いたのか?背景にある「家賃高騰」問題

都内の賃貸住宅はここ数年で大きく値上がりしています。
不動産調査会社「東京カンテイ」によると、2025年9月の東京都23区内の分譲マンション賃料は、前年同月比で約12%上昇。
1平方メートルあたり4809円となり、ワンルームでも10万円を超える物件が珍しくありません。

さらに、新築分譲マンションの供給戸数も減少傾向です。
2025年1〜9月の供給は1万1226戸で、1990年代前半以来の低水準。
家賃が高く、家が足りない――そんな「住みづらさ」が、子育て世帯を直撃しています。

都営住宅はありますが、入居には所得制限があり、倍率も非常に高いのが現状です。
そのため「中間層」や「共働き世帯」など、公営住宅の対象外となる家庭が増えています。
こうした層を支えるために、東京都は民間と協力し、新たな形の住宅支援に踏み出したのです。


どんな仕組みで提供されるの?官民ファンドの特徴

今回のアフォーダブル住宅は、官民一体のファンドによって実現します。
東京都が100億円、民間企業が100億円以上を出資し、総額200億円規模のファンドを設立。
野村不動産、三菱UFJ信託銀行、りそな不動産投資顧問、SMBC信託銀行など、金融・不動産の大手企業が参加しています。

このファンドが新築や中古のマンション・戸建てに投資し、2026年度から順次、相場の2割安で賃貸住宅として供給します。
入居者は公募で広く募集しますが、子育て世帯やひとり親家庭を優先する仕組みです。

東京都が出資しながらも、民間企業が運営を担うため、立地や建物の質に期待できる点も特徴です。
自治体によるこのような官民連携型の住宅ファンドは、全国で初の試みとされています。


家賃はどのくらい安くなる?

報道によると、アフォーダブル住宅の家賃は「相場の約2割安」が目安。
たとえば、都内で月15万円が相場の2LDKであれば、約12万円で借りられる可能性があります。

3万円の差は、子どもの教育費や光熱費にまわせる大きな金額。
毎月の固定費が減ることで、生活にゆとりが生まれます。

都営住宅ほど厳しい所得制限も設けられない見通しで、「収入はそこそこあるけど家賃が負担」という共働き層にも恩恵がありそうです。


公営住宅との違いは?

都営住宅などの公営住宅は、法律で所得制限が設けられており、抽選倍率も非常に高いです。
一方でアフォーダブル住宅は、より幅広い層を対象にしつつ、民間の力を活用する点が異なります。

民間企業が開発・管理を行うため、比較的新しい設備やアクセスの良い立地が期待できます。
さらに、都が後押しすることで家賃が抑えられ、入居しやすい条件を実現します。

つまり、「公営住宅でもない、高級マンションでもない、ちょうど良い価格帯の住まい」を目指したのがアフォーダブル住宅なのです。


どこに建つの?今後のスケジュール

現時点では、具体的な建設地や物件の詳細はまだ公表されていません。
ただし、ファンドの運用は2026年度から始まり、都内で約300戸を順次供給予定と発表されています。

野村不動産はすでにイギリス・ロンドンでアフォーダブル住宅を手掛けた実績があり、りそな不動産投資顧問も名古屋市内でひとり親世帯向けの同様の住宅を供給しています。
これらの経験を活かし、東京都内でも現実的な住宅支援モデルを構築していく方針です。


東京都の狙いと今後の展望

東京都がこの制度を導入した背景には、「居住の安定」への強い危機感があります。
賃料上昇や新築減少が続けば、子育て世帯が都外へ流出するリスクが高まります。
都はこれを防ぐために、民間の資金やノウハウを取り込みながら、持続的に低廉な住宅を供給できる仕組みをつくろうとしています。

今後、成功事例となれば、他の自治体でも同様の官民連携モデルが広がる可能性があります。
少子化対策や地域活性化の面でも効果が期待されるでしょう。


まとめ:都内に“手の届く家”を増やす第一歩

アフォーダブル住宅は、物価高・家賃高騰が続くなかで、東京都が打ち出した新しい住宅支援策です。
都営住宅では救えない中間層や子育て世帯に、安心して暮らせる「もう一つの選択肢」を提供します。

相場より2割安の賃料設定は、生活の安定に直結します。
家計の負担を減らし、子育てや教育にお金をまわせる環境づくりは、東京で暮らす多くの家庭にとって大きな希望となるでしょう。

まだスタート前ではありますが、今後の供給エリアや入居募集の情報にも注目が集まりそうです。
都心で「手の届く家」に住みたいと考える方は、今後の動向をチェックしておく価値があります。


引用・参考:

  • 日経速報ニュース「東京都、相場2割安賃料で住宅供給 野村不動産などと子育て世帯向け」(2025年11月6日)
  • 東京カンテイ「分譲マンション賃料動向(2025年9月)」

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