【知らぬ間に削減】生活保護は本当にセーフティーネットか?3000億円削減の実態と今後の影響

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はじめに:見えないところで削られる“命綱”

生活保護は、収入が少なく最低限の生活もままならない方々に対して、国が最後の砦として支給する制度です。
「働けなくなったとき」「病気で生活が苦しいとき」「家族に頼れないとき」──こうした状況で人々の生活を支えるのが、生活保護の役割です。

ところが、その生活保護費が2013年から2015年にかけて3度にわたり段階的に引き下げられていたことをご存じでしょうか?
そして、その削減の合計額はおよそ3000億円──。

本記事では、この生活保護費削減の背景、実際にどのような影響が出たのか、そして今後の制度見直しの動きについて、わかりやすく解説します。

生活保護費、実は段階的に削減されていた

時事通信の報道(2025年6月1日)によれば、2013年~2015年に実施された3段階の生活保護基準額の引き下げによって、2018年までの5年間で約3000億円が削減されたとされています。
この金額は、年間国家予算の中でも決して無視できない規模です。

具体的な削減内容とは?

  • 2013年:平均6.5%減額(最大10%)
  • 2014年:さらなる見直し実施
  • 2015年:都市部と地方で異なる基準適用

これらの引き下げは主に、食費や光熱費といった「生活扶助基準」に対して行われました。
つまり、「最低限度の生活」の水準そのものが見直されたのです。

なぜ削減されたのか?政府の主張

当時、厚生労働省や財務省が示した理由は以下の通りです。

  • 物価下落(デフレ)を反映するため
  • 生活保護受給者と低所得労働者との「逆転現象」の是正
  • 国家財政の健全化

一見、理にかなっているように見えるかもしれませんが、現実はそう単純ではありません。
生活保護受給者の多くは高齢者や障がい者であり、日々の食事や医療に困っている人がほとんど。
彼らの生活実態を十分に考慮した見直しだったのか、疑問が残ります。

削減の影響──現場の“声”と“数字”

生活保護費の引き下げによって、以下のような実害が生じたと報告されています。

食費を削り、栄養不足に

一部の受給者は、主食を米のみ、もしくはパンやインスタントラーメンに頼る食生活へと変化。
医療関係者からは「低栄養による健康悪化」が懸念される声も出ています。

子どもの教育費にも影響

生活保護家庭では学習塾や習い事に通う余裕がなくなり、「教育格差」がさらに広がる恐れも。
これは、将来の貧困の連鎖につながる可能性がある重大な問題です。

精神的ストレスの増加

生活保護を受けていても「人間らしい生活ができない」との声が上がっており、孤立や精神的な不安を訴えるケースも増加しています。

裁判の結果と制度の見直し

この保護費削減をめぐって、全国で受給者による訴訟が相次ぎました。
高裁や最高裁レベルでも争われ、「削減は違法」との判断が出たケースもあります。

判決の主な論点:

  • 政府が十分なデータをもとに判断したのか
  • 社会保障としての公平性が保たれているか

こうした訴訟を背景に、現在、政府は生活保護制度のあり方を再検討する動きに入っています。

今後の生活保護制度はどう変わる?

2025年現在、政府は「デジタル社会保障改革」や「生活困窮者自立支援制度」の拡充といった方針を打ち出しています。
しかし、生活保護が果たすべき本質的な役割は「困っている人を確実に守ること」です。

制度の持続性は重要ですが、「弱者切り捨て」のような形での改革は、本来の社会保障の理念に反します。

生活保護の利用に“ためらい”は必要か?

日本では「生活保護=恥ずかしい」「怠けている人が使う制度」というような偏見が根強く残っています。
しかし、本来生活保護は“権利”です。

厚生労働省によれば、生活保護の捕捉率(制度を利用すべき人が実際に使っている割合)は2割程度とされ、必要な人が制度を使えていない現状も問題視されています。

まとめ:生活保護は“最後の砦”であってほしい

生活保護費の約3000億円削減は、国家の財政には微々たる調整かもしれません。
しかし、そのしわ寄せは、最も弱い立場の人々に直撃しています。

本来、生活保護は「生きるための最低限の支え」であり、社会全体の安全網でもあります。
見直しや改革が必要な場面もありますが、「知らぬ間に削減」されるような不透明な制度運用は、決してあってはならないのではないでしょうか。

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