はじめに
最近、移動手段として「ジェットフォイル」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
高速船の一種であるジェットフォイルは、観光地へのアクセスだけでなく、日常的な交通手段としても注目されています。
本記事では、ジェットフォイルの基本知識から、高速船やフェリーとの違い、実際に利用できる国内航路、そしてメリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。
これからジェットフォイルに乗ってみたいと考えている方、興味を持っている方は、ぜひ参考にしてください。
ジェットフォイルとは?【基本知識】
ジェットフォイルとは、水中翼を使って海面を浮かぶように走行する高速船の一種です。
「水中翼船」とも呼ばれ、通常の船とは異なり、船体がほとんど水面から持ち上がるため、抵抗が少なくなり、高速航行が可能になります。
ジェットフォイルの推進力は、航空機にも使われるジェットエンジンによるものです。
エンジンで取り込んだ海水を高圧で後方に噴射し、その反動を利用して前進します。
この仕組みにより、時速70km以上という高速移動を実現しています。
開発はアメリカのボーイング社によって行われ、世界各地に普及しました。日本では、主に離島航路などの短距離・中距離移動で活躍しています。
ジェットフォイルと他の高速船・フェリーの違い
フェリーとの違い
フェリーは大量の人や車を運ぶ大型船で、スピードよりも「大量輸送」と「安定航行」を重視しています。
一方、ジェットフォイルは高速移動に特化しており、通常のフェリーに比べて圧倒的に速いのが特徴です。
例えば、フェリーが数時間かかる距離でも、ジェットフォイルなら約半分の時間で到着することもあります。
他の高速船との違い
一般的な高速船には、双胴船(カタマラン型)などもありますが、ジェットフォイルは「水中翼で船体を浮かせる」という構造が大きな違いです。
海面を浮いて進むため、通常の高速船よりも波の影響を受けにくく、安定した乗り心地を提供します。
特に揺れにくいメリット
ジェットフォイルは、通常の船に比べて揺れにくいというメリットがあります。
これは水中翼で海面の上を飛ぶように進むため、波の上下動の影響を受けにくいからです。
船酔いしやすい人にとっても、比較的快適な移動手段といえます。
ジェットフォイルが活躍している日本の主要航路
日本では、主に離島間のアクセス手段としてジェットフォイルが利用されています。
ここでは、代表的な航路を紹介します。
博多~壱岐・対馬(九州郵船)
福岡県博多港から長崎県の壱岐・対馬への航路は、九州郵船が運航するジェットフォイルによって結ばれています。
所要時間は、博多~壱岐が約1時間、博多~対馬が約2時間と、フェリーよりも大幅に短縮されています。
観光客はもちろん、地元の人たちにとっても重要な交通手段となっています。
鹿児島~種子島・屋久島(種子屋久高速船)
鹿児島県本土から種子島・屋久島へ向かう航路では、種子屋久高速船がジェットフォイル型の高速船を運航しています。
鹿児島~種子島は約1時間35分、鹿児島~屋久島は約2時間10分程度で結ばれており、自然豊かな離島へのアクセスをサポートしています。
その他の航路
その他にも、佐渡島や淡路島を結ぶ路線で過去に運航されていた実績がありましたが、現在では航路縮小も進んでいます。
それでも、離島にとっては必要不可欠な存在であり続けています。
ジェットフォイルに乗るメリット・デメリット
メリット
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速い移動が可能
通常のフェリーに比べて所要時間が短く、観光やビジネスの移動時間を大幅に削減できます。 -
揺れにくく快適な乗り心地
水中翼により波の影響を受けにくいため、乗り心地が非常に安定しています。 -
定時運航に強い
多少の波風では航行可能なため、ダイヤの安定性が高いとされています。
デメリット
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荒天時の運航リスク
風や波が非常に強い場合には、安全を考慮して運休となることがあります。 -
運賃が高め
通常のフェリーよりも運賃は高めに設定されていることが多く、コスト面での負担を感じる場合もあります。
まとめ|ジェットフォイルは「速さと快適さ」を両立する移動手段
ジェットフォイルは、高速かつ揺れにくい移動手段として、観光客や地元住民にとって欠かせない存在です。
特に、離島と本土を結ぶ航路においては、生活インフラの一部として重要な役割を果たしています。
今後も、新技術の導入や新しい航路の開発が進めば、さらに便利な交通手段として発展する可能性も期待されています。
旅行や観光で利用する機会があれば、ぜひジェットフォイルの快適な旅を体験してみてください。
参考・引用元一覧
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九州郵船公式サイト(https://www.kyu-you.co.jp/)
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種子屋久高速船公式サイト(https://www.tykousoku.jp/)
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ボーイング社 ジェットフォイル技術解説(一般公開情報)
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海上保安庁「水中翼船に関する技術資料」
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