ガソリン暫定税率は本当に必要?JAFも問題視するその実態と今後の議論

暮らし

なぜ今、ガソリン税が注目されているのか

2025年、日本のガソリン価格は1リットルあたり160〜180円と高止まりを続けています。物価高やエネルギー価格の上昇が重なるなか、家計や物流への圧迫が深刻さを増しています。

その中でも、広く注目されているのが「ガソリン暫定税率」の問題です。1974年に“時限措置”として始まったこの制度は、50年を経た現在も続いており、自動車ユーザー団体であるJAF(日本自動車連盟)もついに声を上げました


ガソリン暫定税率とは?制度の基本をわかりやすく解説

ガソリン価格の中には、複数の税金が含まれています。「暫定税率」はその中でも特に高額で、かつ継続期間の長さが問題視されています。

■ ガソリン1リットルあたりの課税内訳(2025年4月現在)

税の名称 税率(円/L) 説明
揮発油税(本則) 28.7円 国税。ガソリンの販売量に応じて課される。
地方揮発油税 5.2円 地方税。道路整備などに使われる財源。
暫定税率(上乗せ分) 25.1円 1974年からの特別措置。現在も継続中。
消費税(10%) 上記を含めた価格に課税 「税に税がかかる」構造。

実質的には1リットルあたり約58円がガソリン税であり、その税金に対してさらに10%の消費税が課される**「二重課税構造」**となっています。


なぜ“暫定”が50年も続いているのか?

当初は「道路整備の財源確保」のための時限措置でしたが、その後も特例法が延長され続け、恒久的なものとなっています。背景には以下のような事情があります。

  • 国・地方財政が道路インフラ維持に依存

  • 代替財源の確保が困難

  • 税制見直しが政治的に困難(利害調整が複雑)

このようにして“抜け出せない構造”が生まれ、ドライバーの不満が高まっているのが現状です。


JAFが公式に「撤廃」を訴える|2025年4月18日の声明

2025年4月18日、JAFは公式X(旧Twitter)で次のようなメッセージを発信しました。

「ガソリン税の“暫定税率”は、すでに50年が経過し“暫定”とは呼べない状態です。自動車ユーザーの負担軽減と税の公平性を考え、私たちはこの暫定税率の撤廃を求めます。」

この投稿は大きな反響を呼び、ドライバーを中心に賛同の声が広がりました。

出典:JAF公式X(2025年4月18日投稿)
https://twitter.com/jaf_jp

また、同日公開されたJAF公式サイトでは、より詳しい問題提起がなされており、特に「地方の生活者に不公平が集中している」という実態が明らかにされています。


なぜJAFは「暫定税率の撤廃」を求めるのか?【深掘り解説】

JAFが暫定税率の撤廃を訴える背景には、以下の3つの根本的な問題があります。

1. 二重課税の構造的な不公平

現在の制度では、すでに課されている「揮発油税」「地方揮発油税」「暫定税率」などの各種税金を合算した価格に対して、さらに10%の消費税が上乗せされる構造です。これは明らかに“税に対する税”であり、税法上もグレーな領域と言われています。

JAFはこの構造について、「納税者に対する説明責任を果たしていない」と批判しています。

2. 環境性能の高い車にも一律で課税される矛盾

ハイブリッド車やEVなど、環境負荷の少ない車にもガソリンを使う限り同様の税率が適用されます。「エコカー減税」などとの整合性がとれていない点も、JAFは制度の矛盾として指摘しています。

環境政策と税制がバラバラに運用されていることが、ユーザーの混乱を招いています。

3. 地方生活者への過度な負担

都市部と異なり、地方では車が生活の必需品です。公共交通機関が乏しいエリアでは、通勤・通学・買い物のすべてに車が不可欠です。JAFは特に地方会員からの声を根拠に、「ガソリン税は都市部よりも地方の人々を直撃している」と主張しています。

JAFは、こうした“地域間格差”を是正しなければ、「移動の自由」が奪われかねないと警鐘を鳴らしています。


政府の対応と今後の動き

現時点では、政府は「燃料油価格激変緩和対策」による補助金を続けており、ガソリン価格の急騰を抑える措置を取っています。しかし、暫定税率そのものの見直しには消極的です。

  • 総務省や財務省は「道路インフラの維持管理に必要な財源」として継続を容認。

  • 経産省は「単純な減税では根本的な解決にならない」との立場。

これに対し、JAFは「暫定税率の継続こそが問題の根本」とし、段階的な撤廃や見直しを強く求めています。


ドライバーや国民の声:リアルな生活実感

実際に寄せられている意見の一部を紹介します。

  • 「地方では車なしじゃ暮らせない。税金が重すぎる」(50代・福島県)

  • 「エコカーに乗ってもガソリン入れたら変わらない。矛盾してる」(30代・埼玉県)

  • 「物流業だけど、この税率は事業継続に直結する」(40代・運送業)

こうした“リアルな声”が、JAFの主張をさらに後押ししています。


まとめ|暫定税率の是非を問うときが来た

50年間にわたり「一時的措置」として続けられてきたガソリン暫定税率。その見直しをめぐる議論は、単なる税制改革にとどまらず、「移動の自由」や「地域間格差」、「環境と経済の両立」といった幅広い課題と直結しています。

JAFの公式発信をきっかけに、今後この問題が国会や地方議会でも取り上げられる可能性は十分にあります。ドライバー1人ひとりが制度の仕組みと影響を理解し、より公平な税制を求めていくことが求められています。


【参考・引用元】

コメント